インダストリーカットからre:Invent2024を眺め、テクノロジーカットとは違う洞察を得る

インダストリーカットからre:Invent2024を眺め、テクノロジーカットとは違う洞察を得る

AWS re:Invent 2024をテクノロジーではなくインダストリー分野の視点から眺めてみました。展示会での大規模な模擬工場、製造業向けワークショップの充実など、AWSの産業分野への本格的な取り組みが感じられます。
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皆さん、re:Invent 2024には現地参加されましたか?もしくは、re:Invent 2024のre:Capイベントなど参加されましたか?

現地6万人、オンラインで40万人が参加したというre:Invent 2024。膨大なアップデートがあり、その復習イベントも各地で開催されているなかで、皆さんキャッチアップに勤しんでいるところかと思いますが、私からは、「インダストリーカットから見るre:Invent 2024」という内容で、この記事をお届けします。

毎年re:Inventでは、AWSに関する膨大な量のアップデートが発表されていますが、それらは基本的にテクノロジーカットで整理して分類されることが多いです。ただ、re:Inventのセッションやワークショップには、インダストリーカットでそれらテクノロジーの活用方法やユースケースを解説しているコンテンツも多くあります。

re:Inventを振り返る時、テクノロジーカットではなくインダストリーカットから見てみることで、より違った新鮮な目線で、re:Inventの魅力に気づくことができるので、ハマコーなりのre:Invent 2024の振返りを皆さんにお届けすることで、その側面に気づいていただければ幸いです。

ほな、行ってみよ!

re:Invent 2024で、インダストリーはどのように存在していたのか

そもそも、re:Invent 2024において、インダストリーに関するコンテンツはどのように存在していたのかから振り返ってみます。

re:Invent 2024のトップページTopicの中には、このように各種テクノロジー分類の隣に[Industries]という分類があります。

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クリックしてみると、こんな感じでインダストリーページのトップに遷移します。

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また、Sessionカタログを見てみると、そこにもIndustryの項目があり、開くとこんな感じで、インダストリー領域の各分野で、セッションを絞り込みできるようになっています。

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なぜ、re:Invent 2024をインダストリーカットで振り返るのか?

**テクノロジーカットより、実際のユースケースや課題解決に即してテクノロジーが捉えられているからです。**ここにたいして面白みを感じるかどうかは人それぞれですが、自分にとってはめちゃくちゃ面白い。特に今自分が所属している部署が、製造ビジネス・テクノロジー部ということが、大きいです。

突然ですが、過去の自分を振り返ってみます。

以前は、クラスメソッドのAWS事業本部のコンサルティング部所属で、いわゆるソリューションアーキテクトをやってました。その頃は、なにがなんでもコンテナの情報を発信するぞという気概でせっせとアウトプットしていました。当時の代表的なアウトプットがこのあたり。

「コンテナジャーニー」〜明日から速攻始めるAWSでのコンテナ導入運用〜 #cmdevio2018 | DevelopersIO

「それコンテナにする意味あんの?」迷える子羊に捧げるコンテナ環境徹底比較 #cmdevio2019 | DevelopersIO

CloudFormationの全てを味わいつくせ!「AWSの全てをコードで管理する方法〜その理想と現実〜」 #cmdevio | DevelopersIO

その後は、もう少しAWSのサービスを活用しつつアプリケーションよりで顧客支援をしたくなり、MAD(Modern Application Development)事業部を立ち上げたりしました。

クラスメソッドのMAD事業部とは何か? | DevelopersIO

今は、更に顧客ドメインにもっと深く入り込みたいという自分の希望と部署の方向性をアラインし、製造ビジネス・テクノロジー部所属となり、PLC Data to Cloudというサービスを展開しています。

製造現場のデジタル化における課題とPLC Data to Cloudによる新しいアプローチ | DevelopersIO

これらの流れは、自分としては一貫していて「より顧客ドメインに近い方へ」という方向性です。テクノロジー自体の価値は認めつつも、それを顧客の業務にどうやって活かしていくのか、業界課題をテクノロジーがどのように解決に導いていくのか、そこに興味が移ってきています。

その中で、re:Inventにも、インダストリーカットから注目していたのでした。

このあとは、インダストリーカットから自分なりに「これ、面白いな!」と思ったコンテンツを、何点か紹介します。

Expo会場にめっちゃでかいミニ工場現れる

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一番衝撃だったのがこちら。実際に現地で見られた方も多いと思いますが、Expo会場のインダストリーブースに、このような巨大なミニ工場が展示されていました。

このミニ工場は電動自転車の生産工場を模していて、その生産過程をモニタリングして状況を逐一ディスプレイに表示、設備の生産状況やエラーの様子、エラー把握のための生成AIによる自然言語によるチャットボットなど、AWSとパートナーサービスをフル活用した未来の工場像が展示されていました。

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テクノロジーが導く先の世界の一つの形として、真正面からその解をこれだけの規模で展示していたところに、インダストリーカットにも真正面から取組んでいくというAWSの本気を垣間見ました。

詳細は、こちらのブログを見ていただければと思います。

https://dev.classmethod.jp/articles/reinvent-2024-aws-expo/

また、Expo全体の中でのインダストリーブース全体の大きさも目を引くものが有りました。2024年6月に東京の幕張で開催されたAWS Summitでも感じました(当時のレポート:AWSの本気を垣間見る製造業向け展示レポート #AWSSummit)が、インダストリーカットでの展示、明らかに年々大きくなっていて、この領域へのAWSの取り組みの本気度を強く感じます。

インダストリーの代表的なジャンルは網羅されてました。

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Expo全体の中心に大きなブースを構えていたMongoDBですが、実はインダストリーブースにも出島的に展示替されており、ここでもMongoDBのインダストリーソリューションを聞くことができたり。

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グローバル製造業の雄、SIEMENSのブースもあったりしました。SIEMENSが完全に本気を出すハノーバーメッセのブースに比べたら驚くほど質素ですが、AWSのExpoに出展している事自体が驚きでしたね。

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インダストリー関連ブース全体でもこれぐらいのスペースが確保されていました。

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製造業の課題解決を目指すワークショップが多数

ワークショップにも複数参加したのですが、まさに真正面から製造業の課題解決に関連するユースケースを題材にしたものが多くありました。

生成AIとエージェントワークフローによる予測メンテナンス

製造業において、機器が故障する前のメンテナンスは必要不可欠。そのメンテナンスを生成AIをフル活用することで予測するシステムを構築するワークショップ。Bedrockを使ったワークショップは多数ありましたが、実際の製造業界の現場の課題解決を題材にしたもので、非常に興味深く取り組めました。

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事前に機器のマニュアルをAmazon BedrockのKnowledge baseにアップロードしておき、定期的にAWS IoT Core経由で送られてくるセンサーデータの中身をBedrockで解析した結果をSNSトピック経由でユーザーに返すというものです。

Bedrock Agentの実践的な使い方が満載で、非常に参考になるワークショップでした。

デジタルスレッドのグラフデータベースとGenAIを活用した実践

製造業におけるデジタルスレッドとは、トレーサビリティ、アクセシビリティ、コラボレーション、アジリティを推進するために、企業システム全体の異種データソースを組み合わせる統合的なアプローチのことなのですが、それをAWSの中でどのように実現するかを体験するワークショップ。

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アーキテクチャはこのようになっており、中央にあるAmazon Neptune(グラフデータベース)を中心に、LangChainをBedrock経由で利用しながら、自然言語による問い合わせで、製造業における横断的なデータの活用を実現します。

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実際のワークショップでは、以下のような問い合わせが、StreamLitで構築されたチャットアプリケーションで実現されていました。

質問

品質不良 QC-1234-1 について教えてください。影響を受けた部分と技術的要件についても知りたいです。

生成されたクエリ

MATCH (qd:QualityDefect {name: 'QC-1234-1'})<-[:quality_defect]-(op:Operation)<-[:operation]-(po:ProductionOrder)<-[:production_order]-(p:Part)-[:allocation_by_requirements]->(r:Requirement) RETURN  qd.name AS defect_name, qd.description AS defect_description, qd.testresult AS test_result, p.name AS part_name, r.name AS requirement_name, r.description AS requirement_description

回答

提供された情報に基づき、部品「Turbo-Motor-11234」のサプライヤーは以下の通りです。

  1. Max Holdings
  2. Edge Supplier
  3. NFI International
  4. TXP Manufacturing

この4社が指定された部品のサプライヤーとしてリストアップされています。これらのサプライヤーはそれぞれ、Turbo-Motor-11234またはそれに関連する部品を提供している可能性が高いです。各サプライヤーの提供品目や、それらがこの特定の部品とどのように関連しているかについて、より詳細な情報が必要な場合は、これらのサプライヤーに直接連絡するか、Turbo-Motor-11234に関する追加の資料を参照してください。

こういった、実務で即顧客に提案できそうなワークショップが多数ありました。実際のユースケースになぞらえているということも有り、今回参加したワークショップは全てブログにまとめて、顧客に当ててみると、新しいディスカッションができそうだなと感じています。

インダストリーカットでAWSのソリューションを把握できるライブラリー

これは、直接はre:Inventとは関係ないコンテンツですが、AWSにはインダストリーカットでソリューションを検索できるAWS Solutions Libraryというものが存在します。前述したWorkshopの中でもよく言及されていたコンテンツなので、こちら紹介します。

https://aws.amazon.com/solutions/?nc1=h_ls

ここでは、AWSのサービスをソリューション別に検索することができるようになっており、サイト中断には、インダストリー別でのソリューションも提示されています。

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例えば、Manufacturing & Industrialをクリックすると、このような画面に遷移し、さらにその業種でどのような分野のソリューションかを追加で選択できます。

https://aws.amazon.com/solutions/industrial/

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Industrial Data Fabricをクリックすると、Parner SolutionsとGuidanceの2種類のソリューションに分けて、それぞれその分野を支援するパートナーや、それを用いたAWSにおける代表的構成を確認することができます。

https://aws.amazon.com/solutions/industrial/industrial-data-fabric/

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基本的にソリューションライブラリーに含まれているソリューションは、AWSのパートナーを利用したソリューションがメインですが、AWSのサービスだけで構成されているものもあり、その分野をどのようにAWSで実現していくのか?のヒントをもらえるものが多数あります。

ここも、業界課題を顧客にヒアリングしながら、どういったテクノロジーを組み合わせて解決していくのか会話するのに非常に有用なコンテンツなので、是非提案活動などに取り入れてみてはいかがでしょうか?

その他セッションや、ワークショップなどにもインダストリーカットなコンテンツは盛りだくさん

以上、自分が見える範囲でre:Invent 2024で関わってきたインダストリーカットで参考にできそうなものを複数紹介してみました。

近年、AWS全般は全般的に、各種テクノロジーを活かしつつそれをどうやって世の中の課題解決に結びつけていくのかというドメインカットでの情報発信も非常に強くなってきていると感じます。

皆さんが今、事業会社なのかベンダーの立場なのかによって捉え方は違うと思いますが、AWSのこういったメッセージを体感するためにも、是非一度この視点でre:Inventのコンテンツを振り返ってみることをおすすめします。

このブログは、クラスメソッド発 製造業アドベントカレンダー9日目の記事として執筆しました。

https://adventar.org/calendars/10479

それでは、今日はこのへんで。濱田孝治(ハマコー)(@hamako9999)でした。

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